先日、劇場アニメ映画「HELLO WORLD」を観てきました(以下HWと省略)。今回はそれについて所感を述べたいと思います。ネタバレ要素を含むので、同作品を鑑賞予定の方は閲覧注意と予めお伝えいたします。
図:9/20より公開中のHELLO WORLD
ストーリーの概要については、他の関連サイトが参考になりますので、そちらをご紹介いたします。やはりネタバレ注意です。
https://hyakuhon.com/novel/hello-world/
私もそこまでアニメファンではないので、劇場公開作品を一々観に行くわけではありませんが、HWの場合は、広報において当ブログで掲載した記事「たまこの呪い」との類似性が幾つか見出せたので、敢えてそれを確認に行った次第です。
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■「たまこの呪い」他との類似点
他にもあると思いますが、一回観た限りでは次のような類似点が気になりました。
製作者 京都アニメーション関係者によるキャラクターデザイン
設定舞台 日本の京都
主人公 若い男女 (まあ、これはお約束とも言えますが)
特殊キャラ 物語を牽引する特殊能力を有する鳥(カラス)
シーン 鴨川の川辺(賀茂大橋付近)
図:物語に共通する奇妙な鳥:
たまこの「デラ・モチマッヅィ」(左)とHWの「ヤタガラス」(右)
「たまこ」の物語に多くの情報が埋め込まれていた点については、同記事を参考にして頂きたいのですが、表向きここまで似たような設定を見せ付けられては、嫌でもその中の情報が気になります。
まず、これが暗号を含むかどうかの確認です。それは以下の物語設定が全てを語っています。
図:主人公の二人を引き裂いた運命の時間
これを数字分析すると以下の様になります
2027 07 03 20 01
> 2277321 (数字の0を省略)
> 2+7 2+7 3+2+1 (2と7が二つずつあるので、それぞれペアとみなし加算する)
>9 9 6 (前行の加算結果)
>6 6 6 (9をひっくり返す、9と6は形状的に同値)
はい、暗号報道ではお約束の 666 が出てきました。もちろん次のような意味も含まれています。
(1) 03 20 01 > 3 2 1 > 123
(2) 2027-7 > 2020
(3) 2027+7 > 2034
(1).数字の123は「たまこ」にも出てきましたね。これは「天皇」と同時に「123便」を意味すると考えられます。
(2). 2020年は物語中で「クロニクル京都計画」が始まった年とされ、その点と符合します。2020年に何か計画があり大きな変化が起きるという予告でしょう。
(3). これは「34」という数字に注目。世界33階層の更に上位に君臨する者という意味です。
以上から、このアニメ映画は
2020年の123便に関する世界最高支配層からのメッセージ
と解釈することができます。するとそのメッセージは何なのかを、ストーリーの中から読み解かなければなりません。
図:ヤタガラスの原型である三足鳥(さんそくう)
一般に太陽の中に住む伝説の鳥と言われているがそれは誤り。正解がこの映画のラスト1秒で示される。
■奇妙な名前の「堅書ナオミ」と「一行瑠璃」
「たまこ」でもそうであったように、登場人物の名前に深い意味が込められることが一般的です。「たまこ」の場合は非常に分かり易かったのですが、HWの場合は、こんな名前有りか?と思うくらい不思議な名前です。
図:堅書直美あるいはカタガキナオミ(左) と 一行瑠璃(いちぎょうるり)(右)
しかし、登場人物の名前が暗号であることを、この名前そのものが教えてくれてるのです。
カタガキナオミ > 肩書き(役名)の名を見ろ
そこでいつものように漢字分解で個別の意味を抽出したのが以下のa. b. です。
a.堅書ナオミ
堅 >臣又土
書 >土コ日
ナオミ >月 (これは背景から割り出しました)
b.一行瑠璃
一行 >伝える内容は一行のみ
瑠 >王亞田
璃 >王(蓋)(獣)
分解した漢字を全体と辻褄が合うように意味を繋げていくと、そこにメッセージを見出すことができます。パーツ個々の解釈には深い背景知識が必要であり、ここでは全てを書ききれません。
そして、暗号メッセージは元々通信の当事者同士でしか分からない符丁を含んでいますから、私の解釈が正解であるとも保証できません。よって、私が解釈したメッセージ内容はここでは伏せることにします。敢えてヒントを述べるなら、a.がメッセージの送り先、b.がその伝達内容になるということでしょう。ちょっと難しいですが、ここから先は読者さんご自身がチャレンジしてみてください。その際は、字面だけではなく実際に作品を鑑賞し物語の展開から読み解いてください。
■時間移動と世界の終焉
1985年の123便事件に関わるメディア戦略で、頻繁に現れるテーマが、時間移動です。いわゆるタイムトラベル。1985年当時の上映映画を振り返っても幾つかの共通点が見出せます。それを改めて取り上げると
時をかける少女 (1983年)
Terminator (1984年)
Back To The Future (1985年)
などになります。どの作品もその後リメイクや続編など、関連する多くの作品が作られました。未来人が登場する「Steins Gate」(2011年)はもちろん、京アニの「涼宮ハルヒの憂鬱」(2006年)などもその範疇に入る作品と言えるでしょう。そして、HWもその一連の流れに漏れず、やはり未来から来た自分との邂逅、タイムトラベルがテーマの中核になっています。そこに123のメッセージをわざわざ埋め込んでいる訳ですから、1985年当時との共通点がないはずがありません。
図:ご存知「君の名は。」(2016年)
ここでも時間を越えたコミュニケーションが描かれている
ここまで、タイムトラベルが頻出するということは
123便事件と時間移動に何か関係性がある
と、そろそろ断言してもよいかと思われます。実際に123便事件を時間の固定枠を外して俯瞰すると、多くの矛盾点が解消するだけでなく、全体の辻褄がより明確になります。もちろん、都合がいいからと言って、安易にSF的仮説に頼るのは禁物ですが、頻出する時間移動のメッセージを全く無視するのも、柔軟性が欠けているかと思われます。
図:1985年の123便撃墜計画に向けて「タイムトラベル」が芸能興行の主テーマとなっていた。
他の頻出テーマは「卒業」「少女」「少年」など。
また、これらタイムトラベル物に加えて、この時期
北斗の拳 (1983年~)
The Day After (1984年)
風の谷のナウシカ (1984年)
など、漫画やアニメ、劇映画等で核戦争による世界滅亡とその後の世界というテーマがやたら多かったような気がします。前述のTerminatorなども、人間文明が滅びAIに支配された未来から殺人ロボットが送られるという話ですから、世界滅亡物と呼んでいいのかもしれません。
ネタバレで申し訳ありませんが、HWもやはり、記憶データ内とはいえ崩壊する世界が描かれています。そして、そのラストシーンは明らかに地上の現実社会が滅び去ったことを暗喩しています。いやはや、123便事件との関係はこう書き直さないといけないかもしれませんね、
123便事件は時間移動及び世界の終焉と関係性がある。
図:風の谷のナウシカ
今やジブリ作品は日本最強の国民洗脳メディアとなった
※123便事件におけるメディア戦略については、次のサイトから「神々の落涙」及び「芸能界の闇」をご覧ください。
黒霧123便関連記事ガイド
※また、遅くなりましたが本章は次の記事への回答でもあります。
もう一つの「君の名は。」(1)
■記憶とデータ、時間の概念について
この映画で扱う時空概念は、マトリックス、電脳コイル、甲殻機動隊、インセプションなど、過去の映画等で既出のものが殆んどで、まるでその総集編を観ているような気がしました。二番煎じだと言いたいわけでなく、それらの個々のテーマが上手くミックスされているなと逆に評価したいくらいです。
タイトルも個人的には気に入っています。「HELLO WORLD」というフレーズはコンピュータ関連を職業としている人ならすぐにピンとくるでしょう。
#include <stdio.h>
int main(void) {
printf("Hello World!");
return 0;
}
これはC言語の場合ですが、「Hello World」とはプログラミング入門者がほぼ必ず例題として目にする普遍的フレーズなのです。本編が情報空間内の世界を表現しているのですから、その内部世界の入口に立つ入門者、この場合は観客を迎え入れるという意味で絶妙のタイトルではないかと思います。
一行瑠璃というヒロインの名前も、プログラムコードを一行書き換えただけで、瑠璃の珠のようにいくらでも情報世界の挙動が変化するという意味を掛けているのかなと思ったものです。
ここまでマニアックなのは評価しますが、残念なのは、「自分がデータであるのか実在する存在なのか識別は不可能」と登場人物に言わせているのに、ラスト1秒に安易なオチを持ってきたことです。私ならば、
そのラストですら幻想である
と突込むでしょう。例え自分がどの時間、どの空間に複数存在したとしても、その時認識している自分自身と目の前の世界だけが自分にとっての現実なのだと思うからです。
あらゆる事象改変の試みは、改変しているようでいて新たな現実を作り出しているだけ。その時その場所の自分がどこに向っているのかは、おそらく神様だって分からないでしょう。はっきりしているのは、その瞬間における自らの意思だけなのです。
三の年に記す
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