今回は夏の夜空を彩る打ち上げ花火について触れたいと思います。
2018-08-06 追記
花火を見ていると物悲しくなったり、胸が締め付けられるような思いを体験した方は多いのではないでしょうか?実は、花火こそが昔から行われてきた集団催眠技術の一つなのです。詳しくは上述の参照先記事を読んで頂きたいのですが、ここでは陰陽道の見地から、この術を解く方法を紹介いたします。それは、次の短歌を花火会場で詠むだけという、とても簡単なものです。
ゆらゆらと たまゆらゆらと 咲く花は
暗き夜照らす 黒の龍かな
集団心理というのは不思議なもので、一滴のしずくが作り出す波紋のように、一人の心の変化が周囲の人々へ次々と伝播します。まずは、歌詠みさんの心を取り戻すこと、騙されたと思って花火を見上げながら詠んでみてください。
長岡の花火大会などで有名な、大型の花火、3尺玉は600m上空に打ち上げられて、直径600mの巨大 な紋様を夜空に映し出します。
以下の写真は、明治の頃に使われていた大型花火打ち上げ用大筒の実物のようです。現在は金属性の筒が使用されているみたいですが。
さて、3尺玉の重さは300kg、これが600mの上空に打ち上げられるということですから、少なくとも位置エネルギー相当のエネルギーが打ち上げ時に与えられているはずです。簡単の為、重力加 速度を10m/s2として位置エネルギーの値を算すると
E= mgh =300×10×600 = 1.8×106 ジュール
となります。これをTNT火薬量に換算すると
(1.8×106) / (4.184×106) = 0.43 ミリトン = 430 kg相当
となります。これがどれくらいの爆風を生み出すのか、次のサイトで計算します
https://keisan.casio.jp/exec/user/1439603753
ここでは、爆薬中心部までの距離を大筒の半径0.5m程度と仮定します。すると筒の表面が受ける 爆風の力は
148.84 kgf/cm2
と計算されます。同サイトによると、30 kgf/cm2の爆風で
「重構造物が倒壊する、特殊な対爆構造物以外では耐えられない」
とあります。計算結果はこの値の5倍程度ですから、長岡では3尺玉を打ち上げる度に、地上では 筒が木っ端微塵に破壊されるのはもちろん、打ち上げ地点の半径200~300mくらいまでが家屋倒壊 するレベルの爆風に晒されると、普通に想定されます。とっても危険ですね。
そして、現実には爆風は鉛直方向だけに向うわけではありませんし、空気抵抗や渦による抵抗も考えないといけません。ですから、爆薬量はこれより多く必要なはずです。これだけの爆風を今はもちろん、かつては木製の大筒で受け止めていたのですから、日本の技術は本当に凄い、いや凄すぎる。もはや魔術です。これでは龍神さんが花火の中に封入されていると論評されても仕方ないと思いますよね。
※爆圧によるエネルギーを鉛直方向に解放してるんだという反論もあるかもしれませんが、それなら木製大筒の耐圧能力をまず説明しなければなりません
ここで重要な訂正があります。
上述の最初の稿で430gとするべきところを430kgと1000倍大きい数値で計算してしまいました。あまりに大き過ぎるのが気になってましたが、すぐに気付くべきでした。訂正した値は以下のようになります。筒の表面が受ける爆風の力は
13.9 kgf/cm2
となります。これは
「強固な家屋や鉄筋コンクリートなどの構造物が損壊する」レベルと「鉄筋コンクリートや岩などが割れる」レベルの中間に当たります。
よって、どうして木製大筒が鉄筋コンクリートや岩盤並の強度を保っていられたのかという疑問に関しては相変わらず謎のままですし、現在の決して厚いとは思えない金属筒で大丈夫なのだろうかという疑問は残ったままです。少なくとも、破裂は免れたとしても筒の再利用は不可能だと考えられます。また、200〜300mの範囲内で想定される爆風の被害は、窓枠が壊れ瓦が落ちるレベルに下方修正します。いずれにせよ、3尺玉の打ち上げ地点周囲数百mが爆風による危険範囲であることに変わりはありません。それが現に見世物として制御出来ているのですから、その技術を魔術的と表現するのに誇張はないと考えます。
軍事技術に限りなく等しいのに、簡単に晒しちゃっていいのかなぁ?
お社の中でしっかり封印しているところが、魔術っぽくて素敵です(笑)
そりゃそうか、山師や花火師は修験道者や陰陽師とほぼ同業ですからね・・・
■初速を計算してみる
打ち上げ寸前、三尺玉に掛かったエネルギーは速度で表現することができます。
(1/2)mv2 = mgh
以上の公式によれば、初速vの値は
110m/s
これを時速に直すと約400km/hとなります。つまり現行の新幹線の最高速よりも早い速度で打ち上 げられることになります。イメージとしては最大重量時の小錦さんが、「い~ち」と数える間に100m上空、東京の大手町にある三菱東京UFJ銀行本店の高さまで付吹き飛ばされた姿を想像すればよいでしょうか・・・それくらいの大爆発がないと3尺玉は打ち上がらないのです、理論上はですが。
三菱東京UFJ銀行本店ビル
更に加えるなら、時速400kmものスピードで射出すればその空気抵抗は非常に大きいでしょう。新幹線の窓から手を出した時にどれくらいの抵抗を受けるかを想像してみてください。真空状態を前提とした時速400km程度の初速ではあっという間に減速し、600mの上空に届くとはとても考えられません。厳密に計算することも可能ですが、ここでは更なるエネルギー、つまり更なる爆薬量がないと目的の高度まで打ち上げられないと理解すれば十分です。当然、地上は緊急避難レベルの大爆発です、理論上は。
夏には怪談が付き物ですが、もしかしたら、夏の花火こそが怪談そのものなのかもしれません。
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