引退したはずなのに、それをわざわざ撤回して監督業に復活した、アニメ界の大御所である宮崎駿さん。
この方の作品は、(神)ブログにおける日本古代史研究の展開において大いに参考になっているので、感謝の気持ちも込めて、最新作である「君たちはどう生きるか」を早速観に行きました。
写真:スクリーンの入場口前で撮影
この作品、何でも事前の情報公開をすごく絞っていたようなので、私もその姿勢を尊重し、しばらくの間、作品の内容には直接触れないことにしたいと思います。
さて、宮崎監督の手掛けた大ヒット映画と言えば、「もののけ姫」や「千と千尋の神隠し」が良く知られていますが、この2つの作品が神話として残された日本古代史(*1)を、そのストーリーの基本プロットに使用している件については、(神)ブログの読者さんなら既にご存知ではないかと思います。
*1 日本古代史:読み方は「にほんこだいし」ですよ。昭和以前に「ニッポン」という外国名は存在していませんのでお間違いなく。右寄りの方がよく「ニッポンを守れ!」とか叫んでいますが、外国を守ってどうしようというのか、いつも疑問に思います。
今回のこの作品も、やっぱりその傾向は変わらないようなので、これから作品を観に行かれる方に向けて、知っておいた方が作品理解に繋がるだろうと思われる箇所を、日本書紀から抜粋し書き出しておきましょう。
この後に神吾田鹿葦津姫(かむあたかしつひめ)が、皇孫をご覧になっていわれるのに、「私、天孫の御子を身ごもりました。こっそりと出産するわけに参りません」と。皇孫がいわれるのに「天神の子であると言ってもどうして一晩で妊ませられようか もしや、わが子ではないのではあるまいか」と。
木花咲耶姫は大変恥じて、戸のない 塗籠(ぬりこ)めの部屋を作って、誓っていわれるのに「私のはらんだ子がもし他の神の子ならば、きっと不幸になるでしょう。 また本当に天孫の子だったら、きっと無事で生まれるでしょう」と。そしてその室(むろ)の中に入って火をつけて室を焼いた そして 炎が初めて出たとき、 生まれた子を 火酢芹命(ほすせりのみこと)、 次に火の盛んなときに生まれた子を 火明命(ほのあかりのみこと)と名付けた。 次に生まれた子を、彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)という。
日本書紀 神代 下 (現代語訳:宇治谷 孟)
あまりにも懐妊が早かったので、夫の瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)から実の子であるのを疑われ、潔白を証明するため産屋に火を放つと言う暴挙?に出た神吾田鹿葦津姫(=木花咲耶姫)の話ですが、これが映画の中のどのシーンと被るのかを探してみてください。
そしてまた、どうして宮崎監督作品が日本古代史をベースに置くのかと問われれば、それはメディア作品を介した呪術(高度な心理操作)を目的としているからであり、そのターゲットは当然私たち日本人(*2)なのだと考えられるのです。
*2 日本人:「にほんじん」です。外国人であるニッポン人のことではありません。
その傍証となるかどうかは分かりませんが、私が以前から例として挙げている、呪いの数字
731
の数列がしっかりと作品の中に登場しますし、天皇を表す数字
123
もやはり出て来るのです。もちろん、このまんま出てくる訳ではなく、そこは並べ替えや数字の分散など、直ぐにそれだと指摘されないような工夫はされています。
この他に、鳥の〇〇〇がオウム目に分類されることに特別な呪いの意味が隠されていたりするのですが、この手の話題にあまり触れると作品のネタバレになってしまうので、ここらで止めておくことにします。
新海誠監督の「天気の子」や「すずめの戸締まり」などは、この呪術的要素をあまりにも取り込み過ぎていたため、娯楽作品としては見事に崩壊していましたが、宮崎作品はさすがですね、どんなに呪いを盛り込もうが、なんとなくハッピーエンドで終わったように見えてしまうのです。これは本当に才能だと思います。
この他、最も指摘しなければならないのは、この映画のタイトル「どう生きるか」に対する劇中の答えが
あまりにも情けない
と思える点なのです。この映画の制作関係者が、まだ「時間の回廊(ループ)」なんていう甘い夢を見ているようでしたら、「そろそろ夢から覚めてください」と言いたくもなります。
しかし、それは仕方ありませんよね。「火の七日間」などと聖書をわざわざ読み替えていた「風の谷のナウシカ」の頃から、その辺の傾向はちっともブレておらず、その頑固なまでに一貫した反基督観・厭世観に、かえって宮崎監督に対する尊敬の念すら覚えてしまうのです。
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でも監督、アレが趣味なのは分かっていますが、三鷹にお住まいのお母さんたちや小学校の先生たちをあまり心配させないでくださいね。
さあ、読者の皆さん、この映画に興味を持って頂けたでしょうか?暑い夏はぜひビールを片手に、スクリーンの前で呪いのアイテム探しと行きましょう!
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