(真)日本の黒い霧

123便事件は世界の闇を照らす

送電線は空きだらけ

この記事は(新)ブログ「認めたくない、日本の憂うべき現状(9) - 大電力送電の大嘘」の補足記事です。

(社説)再エネの普及 送電線の「空き」活用を
2017年11月9日05時00分

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 風力や太陽光など、再生可能エネルギーによる発電を普及させていくことは、脱原発と温暖化対策の両立に欠かせない。

 ところが、送電線への接続問題が大きな壁としてたちふさがっている。送電線を持つ電力大手が「空きがない」と主張し、再エネ業者が何年もの期間と多額の負担金がかかる送電線増強を嫌って計画を断念する。昨春、東北電力が北東北で「空き容量ゼロ」と発表して以来、そんな例が各地で相次ぐ。

 本当に空きはないのか。京都大学の研究グループが青森と秋田、岩手、山形4県の基幹送電線について、全国の送電網利用を監督する公的機関が公表したデータを基に分析すると、実際には2~18%余りしか使われていないことがわかった。北海道でも同様の結果だった。

 電力大手各社は空き容量の計算方法の詳細を明らかにしていないが、基本的には先着順に接続契約している発電設備がすべてフル稼働した状況を前提にしているという。今は止まっている原発はもちろん、未完成の原発なども計算に含めている。(以下略)


引用元:朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/DA3S13219740.html

 

 

上記記事ですが、そんなもんだろうということは初めから分かっていました。だって、長距離送電なんてできないのだから。活用すると言っても、近距離区間でならともかく、長距離送電を想定しての論説なら、それは無理というものです。電力会社が計算方法を開示していない事実が、その理由を如実に物語っていると思いますが。

私がブログで書いたことを、オカルトだSFだとおっしゃる方もいらっしゃいますが、高圧電線にとまる鳥を見ていながら50万ボルトの高圧電流が200㎞先に送電されていると信じる方がよっぽどオカルトでSFです。何でそんなことになるかと言えば、理知で判断せず常識で判断するからです。常識というのは必ずしも検証された真実でなく、ただの多数派意見です。まず常識を疑うことから始めなければ、世の中の真理・真実に到達することなどできません。それも123便事件の調査経験から学んだ教訓の一つです。


さて、(新)ブログ「大電力送電の大嘘」の補足説明をしたいと思います。まず、同記事の大事なポイントを2つ挙げておきましょう。

 (1) 電圧を上げて送電効率が良くなるという事実はない

 (2) 高電圧は抵抗を上昇させ、送電効率を落とすだけ(*1)

*1 一般送電線において高電圧(1万ボルト前後以上)は高電流を発生させ、高電流はその2乗に比例して磁界による抵抗を増加させるため。強電の世界ではオームの法則は単純に適用できない。

勘違いされないよう申し上げておきますが、全ての場合に長距離送電が不可能と言ってる訳ではありません。高電力、すなわち、電圧と電流の掛け算が10百万ワットを超えるような電力を長距離送電できないという意味です。

長距離送電できるケースを考えましょう。例えば、断面積が100㎟の銅線なら、1㎞当たりの抵抗は約0.2Ωです。オームの法則がまだ成立する1000Vを直流で送電し、仮にこの区間に20A の電力が流れたとすれば、1km当たりの電圧降下は

 0.2(Ω) x 20(A) = 4(V)

そこから、1km 当たりの送電損失率は

 4 / 1000 = 0.004 ( 0.4 % )となります。

よって、100%損失する距離は

 1/(0.004) = 250 (km)

となり、250km 先に10A の電気を流すことができます。ただし、これでは受電側の電圧はゼロになってしまうので、受電側に100V以上の電圧を残すためには、以下の式より

 V - 4(V/km) * 250(km) > 100

 V > 1100

と電圧を100V 加圧する必要があります。しかし、抵抗が同じで電圧が上がれば電流も1.1倍となり結局全電力を損失してしまいます。実際には受電口から先の抵抗が加わりますので、必ずしも送電区間だけで電流値が決まる訳ではありません。同じ理屈で加圧なしでも電流は流れますが、必要電圧が取れないなど提供品質の問題が発生します。そこが電気の難しいところでもあります。

なんだ、長距離でも送電できるじゃないかと思われるかもしれませんが、100V / 20Aというのは一軒家分の電力でしかありません。100㎟銅線の重さは1km当たり、0.9tあります。そこから250㎞に這わせる銅線の重さは

 0.9(t/km) x 250 (km) = 225(t)

となります。並銅の価格を650(円/kg)とすると敷設する銅素材だけの価格で

 650(円/kg) x 1000(kg/t) x 225 (t) = 146,250,000 (円)

1億4千6百万円となります。

常識的に考えれば、家一軒のために、1億円以上もかけて配線する経済的意味はありません。送電対象が、もしも中都市レベルの3万戸ならば、上記の価格に3万をかける訳ですから、4,387,500百万円 = 4兆4千億円にもなります。

そんなに予算をかけて採算がとれるはずもなく、だいたい3万本もの電線を架空で吊り下げられるはずもありません。1km渡しで2万7千トンにもなる訳ですから。

要するに、高電圧では物理的に送電距離の限界があり、低電圧にも経済的な限界があるのです。すなわち、長距離送電は事実上不可能なのです。ですから、この前提で改めて問いかけたいと思います。

 (1) 私たちの使う電気はどこから来ているのか?

 (2) 遠隔地にある発電所の本当の目的は何なのか?

 (3) 高圧電線の本当の目的は何なのか?

(2)などは、全ての原発に当てはまる話です。再稼働しようがしまいが、都市部の電力事情に全く関係ない。なのに、なぜ再稼働が急がれ、都市住民が事故のリスクを負わされ、なおかつ経費が都市部の電気料金に上乗せされるのか、この不合理を電力会社や経産省は説明すべきです。それがなければ、何かやましい別の目的があるとみなすしかありません。おかげさまで、それらの答えはかなり分かってきました。そして、隠された事実関係を知れば知るほど、私たちが住む現代社会が、如何に恐ろしい基盤の上に成り立っているのか、その実態が見えてくるのです。

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さいたま新都心の政府高官専用地下シェルター
ラフレ・郵便局の下辺り。脱出用リニアも敷設済み

電力政策を進めて来た経産省の皆さんには、なるべく早く真実を開示するようタイミングをよく考えてほしいです。いざとなったら、どさくさにまぎれて埼玉新都心駅の地下にある政府高官及びその家族専用シェルターに逃げ込む算段かもしれませんが、それは、心ある埼玉県民が絶対に許しませんし、あなたたちのプライドと良心が許さないでしょう。それら公共物を利用する権利は一般国民に等しくあるのです。数10年にも亘って電力会社と結託し国民を欺いて来たその事実を、今こそ明らかにしてください。

地下シェルターの存在を知らされていなかった各省庁の官僚さん、おそらく部局長や参事官より下位のあなたは、最終的に国に見捨てられる存在だったのですよ。現場で一番苦労されているのにね。今ここでそれを再認識してください。


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