(真)日本の黒い霧

123便事件は世界の闇を照らす

水資源問題は存在しない

昨日、知人と四方山話を交わす機会があり、その中で次のような話題が出ました。

「知り合いのお婆さんの深井戸から出る水が、海のそばにも拘わらず真水なんです。どうやら海底よりさらに深い、地上から300m位の海底下の地層を流れる地下水脈があって、そこを通ってきたきた水だから云々・・・」

この説明を否定はできませんが、これを聞いた時に次のような話があることも知ってもらうべきかなと思い、添え足しました。

「100mより深い海中はほぼ淡水なんですよ」

と。

スーパーなどに行けば、今でも海洋深層水としてペット入りの水が売られているかと思います。そこに書かれている説明を読んでも、わざわざ塩分をろ過していると書いてるものは少ない様です。高知県のホームページを見ると「脱塩処理している」と説明があり、処理にはRO膜(逆浸透膜)を利用しているとあります。

 参考: 室戸海洋深層水

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図:海洋深層水の商品


■自然界に水は単分子状態で存在しない

ちょっと物性物理をかじった方、水の健康法に凝った方なら「水クラスター」という用語を聞いたことがあるかと思います。自然界では水分子が単分子で水になっていることはまずありません。10個以上の水分子が集まって「クラスター」という状態を作っています。なので、家庭に届いている水も、単分子の水ではなくクラスター状態の水なんです。

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さて、塩分となる塩化ナトリウム(NaCl)の分子量は
  58.44 g/mol
ですが、それに対して水の単分子の分子量は
  18.02 g/mol

単純計算すると、
  58.44/18.02 = 3.24
ですから、NaClは水分子4個分以上のクラスターより比重が軽いということになります。

 

実際には、NaCl自体も水の中ではイオン化してイオン結合など重合化するので、塩分が水分より重いという状態は変わりません。ところが、海水深度が深くなり、水圧が高くなると水クラスターの重合度合いが高くなり、100m位の深度(おおよそ11気圧)で、常に水クラスターの分子量が塩分のそれを上回るようになると考えられます(*)。

*これは経験や情報等に基く推論です。実際には加圧実験機等で証明する必要があるでしょう。

そうすると、比重の関係により、塩分はその深度より下に沈降しなくなります。よって、100mより深い深海は淡水の領域となるのです。

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図:海洋深層水の説明図

海洋の平均深度は3800mと言われてますから、この数字を信じれば、全海水における塩水の割合は0.3%程度、つまり

 海水のほとんどが真水

ということになります。もっとも、平均3800mは過大な見積もりだと思うのですが、それでも、海水の大半が真水であるという事実は変わらないはずです。


室戸岬海洋深層水がどうして塩辛いのか?

以上の説明は、高知県室戸岬から取水されている、塩分を含む海洋深層水の説明と矛盾しているように感じられるかもしれません。しかし、以下の説明を読むとその理由が明らかになります。

参考:なぜ室戸

つまり、室戸の深層水は深層から表層へと海流が湧き昇る「湧昇流」が発生する「湧昇域」から取水されているため、上下層の間で攪拌が起こり、表層下部の最も塩分が濃い海水が交じり合っているのだと考えられます。つまり、室戸の深層水は厳密には深層水とは言えないものなのです。

なお、同関連ページには次の様に書かれていますが、

逆浸透膜(RO膜)で作られた水は塩分やその他のミネラル成分が少なくなり、真水に近い成分となります。そのままでも飲むことはできますが、ペットボトルの海洋深層水飲料は各社でミネラル成分の調整をして販売しています。」

深層水でもない上に、こんな成分調整をしてたら深層水として売り込むメリットは何もないと思うのですが?・・・余談ですが。


■よって水資源問題は存在しない

日本国内では当たり前のように海洋深層水が売られているのに、何故か、国際政治の評論家たちの間では、近い未来にアジアで深刻な水の争奪戦が行われるような論調が主流になっています。

中国や韓国の資産家が日本の水源地を買い漁っている、欧米企業が日本の水道事業を乗っ取ろうとしているとか、扇情的な論調も幾つかみられます。しかし、海洋深層水の真実を知っていれば、

 そんな投資は全くの無駄骨

であることにすぐに気付くはずです。そして、中東諸国に莫大な資金を投下して建設されている

 淡水化プラントも全く無意味

であることが分かるはずはずです。もちろん日本企業が得意としているRO膜の技術はこれからも必要でしょうが、自然に存在する物理現象が塩分を選り分けてくれるのですから、コストをかけて海水をわざわざ淡水化する必要など全くないのです。

私がこれはひどいなぁ、と思うのは、例えば、米国のオハイオ級原子力潜水艦などは150人の乗員を乗せ、90日間潜航するのですが、船内では水は使い放題とのこと(元海上自衛官談)です。一人が一日10リットル使った場合でも、一日1.5tの真水が消費され、90日の潜航では、135tの水が消費されることになります。これって、同型潜水艦の容積の8倍強です。

まあ、原子力でろ過機を回し続け、排水を浄化し続けているという理屈でしょうが、本当でしょうか?海洋深層水が真水であることをご存知だからこそ、これだけの乗員の長期潜航生活が維持できるのではないでしょうか?

きちんとした検証は必要ですが、もしも海洋深層水の秘密を黙り続け、各国の水資源争奪戦争を煽り、あまつさせ、その戦争に海洋深層水の恩恵を受けている(と思われる)潜水艦を投入しようというなら、

 水戦争はとんだ茶番

だと言わざるを得ません。

私は、水とは、神が地上に生きる万物に等しく与えられたものであると思っています。これを愚かな政争の具に貶めてしまえば、その代償は人類にとって計り知れないくらい大きなものとなるでしょう。日本が進むべき道は、高価なプラントを特定の金持ち国家に売りつけることでなく、海に眠る水の恵みを全世界の乾き切った人々に届ける、それではないかと思うのです。

追記 RO膜で本当に淡水化できるのか?


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海水淡水化には複数の方法があります。多段フラッシュ法のような沸騰・蒸発を使用する方法はまだ納得できますが、RO膜を使った逆浸透膜法には以前から疑問があります。それは、塩化ナトリウムの分子量は水分子単体の3倍強しかなく、膜がクラスター状態の水を透過させるとすれば、重合度の小さな塩化ナトリウムは簡単に膜を透過することになります。

水のクラスターサイズも一定ではありませんから、大きなクラスターに合わせれば、かなりの塩分が透過するでしょう。仮にサイズ調整ができても、すぐに膜が目詰まりしそうなものです。そんなものが果たして使い物になるのでしょうか?

もしかしたら、RO膜法は、塩分濃度が極めて低い海洋深層水についてのみ、不純物除去を目的に行われているのかもしれません。つまりプラントメーカーも海洋深層水が真水であることを知っているのかもしれないということです。そうだとしたら、日立などの日本企業は中東諸国を騙していることになりますが、どうなのでしょう?中東諸国関係者は海洋深層水について自国で再調査し、淡水化プラントの契約企業に詳細な説明を求めるべきです。

 

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