本日13日は台風15号の影響で停電が起きてから5日目。千葉県では現在(21時)も、18万戸が停電しており、住民が不便を強いられています。現場で復旧作業に努めている方々には頭が下がりますが、知らぬをいいことに、不要な負担を生活者に押し付ける、経産省・東電のやり方には疑問が残ります。昨年の北海道胆振地震に端を発したブラックアウトが、官製停電であったことは既に記事にしてますが、相も変わらず今年も同じ嘘を吐くのはいかがなものでしょうか?
今回は、これまでの記事の繰り返しになりますが、日本のエネルギー政策、環境政策に関る重要なことですので、敢えて日本の現実の電力供給システムについておさらいから始めます。
まず、以下の図をみてください。
図1:一般的な電力供給の概念
過去の関連記事をお読みになってない方は、この図を見て何を当たり前のことを書いてるのだと思われるでしょう。いや、違います。これが当たり前ではないからわざわざこの図を掲載したのです。最も重要なポイントは
大電力は長距離送電できない
という事実であり、これは厳然たる物理法則に基く結論ですから、どんな学者もこれに正面から反論できるものではありません。要するに何10kmも離れた発電所から都市を維持するだけの電気なんぞ引っ張れないのです。ですから、図1の左側にある、遠方の大規模発電所から高圧電線や複数の変電所を経て我家に電気が届いているなんてお考えは、オカルトであり幻想なんです。詳しくは、以下の過去記事をよく読み返してください。
つまり、読者さんが感じた「当たり前」・「常識」というのは根底から間違っているのです。
すると、今家にやって来てる電気はどこから来たのか?という当然なる疑問が湧くと思います。それに応えたのが以下の図です。
図2:現実の電力供給
この図のポイントは明瞭です。実は、現在の家庭の電気は、だいたい100~1000戸程度に一つ設置された地下発電所から地上に供給されているものなのです。地下に火力や水力発電所なんて作れませんから、小型化が可能で、排気が少なく、燃料交換サイクルの長い原子力発電所が作られているのは間違いないのです。都市近郊の場合、一つのニュータウンに一基は確実に地下発電所が作られていると想定してよいでしょう。また、狭いエリア内で大需要が見込める都心部などでは、中規模以上の地下原発から電気が供給されます。
北海道のブラックアウト、今回の千葉大停電と絡んで重要なのは、基本的にブロック単位で発電が行われているため
大規模停電など起きる理由がない
ということです。また2011年の東日本大震災の煽りを受けて実施された計画停電(あるいは輪番停電)などは、全く実施する必要などなかったと付け加えておきましょう。
北海道ブラックアウトの関連記事:
・【緊急】北海道全域停電について
・補足-北海道全域停電
・北海道、嘘だらけの節電呼びかけ
■被害の机上算定
ここで、図2の現実モデルを用いて今回の台風15号による損害のシミュレーションを行います。
まず、東電発表によると、電柱の倒壊が84本と報告がありますが、どういう訳か倒木についてはそのデータが公表されていません。民家が多い場所ではそれほど樹木が多くなく、電力会社もバカではないですから、接触の可能性のある立木は普段からある程度手入れをしているものと仮定します。図2を見れば分かるように、山林間を這わすようないわゆる高圧電線は一般家庭用には使われていませんので、山林地域の倒木は、一般家庭への停電と直接関係ないとみなすことができます(逆に言うと、高圧電線を利用しなければならない何かが大被害を受けたと言えます)。
それでも樹木の方が電柱よりは数が多いでしょうし、枝が折れて飛ばされるケースもあると思うので、電柱の倒壊数よりは倒木の数は多いとします。その数をおおよそ5倍と仮定すれば倒木による被害数は
84 × 5 = 420 件
と見積もれます。これに、電柱の倒壊数を足せば、おおよそ計500件の断線障害が起きたとみなすことができます。
ここで、1ブロックに対し1件の断線障害が起きたと想定し、なおかつ、当該ブロックの戸数が最大規模の1000戸程度あったと、多めに算定することにします。
すると停電の戸数は
500 × 1000 = 500,000(戸)
と、これだけ多く見積もっても50万戸しかありません。大停電が始まった当初は、千葉で90万戸以上が停電と公表されているので、実際には算定見積もりの倍近い家が停電したのです。
さらに現実的なシミュレーションをするならば、暴風による断線被害は、地形などの理由から、特定地域に集中するはずですから、1ブロックで数件の障害となるケースの方が多いと考えられ、停電するブロック数も実際にはこの想定より少なかっただろうと考えられます。私はそれをこの計算値の6割程度、つまり30万戸程度だと推定します。このように推定するのには理由があり、その理由とは以下の報道です。
停電「33万戸はきょう中に解消 29万戸は復旧に時間」経産相
2019年9月10日 11時15分
台風15号の影響で千葉県を中心に60万戸以上で停電が続いていることについて、世耕経済産業大臣は10日中に少なくとも33万戸の停電が解消されるという見通しを示しました。一方、残る29万戸については復旧に時間がかかるとして、東京電力に細かな情報提供をするよう指示したことを明らかにしました。
世耕経済産業大臣は閣議のあとの記者会見で、停電の復旧状況について、配電設備の復旧を進めることで10日中に少なくとも33万戸の停電が解消されるという見通しを示しました。
その一方で、残る29万戸については電柱が倒壊していたり、倒木によって電線が切断されていたりするため、復旧に時間がかかることを明らかにしました。
そのうえで「できるだけ早く復旧させたい。地域の事情もあるが、復旧見込みをきょうなのかあすなのか、東京電力にはできるだけ細かく情報提供するように指示している」と述べました。
(以下略)
引用元: NHK https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190910/k10012073141000.html
東電が11日の夕方まで復旧日程を示せない中、なんと、前日の10日午前に経産省の方がより具体的に電柱倒壊などで停電した29万戸の復旧には時間がかかると発表してるのです。なんてことありません、
経産省には東電からの詳細な被害報告が入っていた
のです。経産省は東電の先を越してフライング気味に短期復旧が不可能な戸数を公表したのですが、翌日11日早朝の東電による「今日中に復旧」という発表は前日の世耕発言と明らかに矛盾しており、それにすぐ気付いたため、この「今日中に復旧」宣言はわずか3時間後に撤回されることになったのでしょう。このような推測から、経産省発表の29万戸、おおよそ30万戸という数字は実害数として逆に信頼度が高いと認めることができるのです。
以上より、こう結論することができます。
当初90万戸の停電の内、60万戸は計画的に実施された
と。なんだ、昨年のブラックアウトと同じじゃないですか・・・
追記(2019/09/28)
千葉県の停電解消が宣言されたのが25日でした。本当に倒壊・断線した現場はさぞかし復旧がたいへんだったと想像されます。しかし、10日の世耕発言だと、台風直撃の2日後には33万戸が一気に復旧するとしています。同じ強風被害なのに
この差はいったい何なのでしょう?
同じような物理的障害が理由で停電したのならば、復旧ペースは支援が拡大する後期の方が早いはずなのに、何故か現実はその逆です。この事実からも、今回の大停電には計画停電、もしくは偽装停電が含まれていたと考えられるのです。
■何のための計画停電か?
9/10の記事「関東の大停電は本当か?」の中で、9日未明に大規模停電が始まる前、送電区の切り替えを意味する、電気の「瞬停」があったとお伝えしました。報告者によると、小さな停電を短時間の間に3回繰り返した直後、ほぼ丸一日電気が通らない大停電の不便を蒙ったとのことです。
このカラクリの説明は極めて簡単です。要するに、
一般家庭用の地下電源を他に融通した
ということなのです。例えば、東にあるA市Xブロックの電源を西に隣接するB市Yブロックに回すようなことが行われたのです。今回の台風で、千葉県内でも比較的被害を免れたと言われる、千葉県北西部の、市川市、松戸市、鎌ヶ谷市、柏市などですが、この地域には
・陸上自衛隊松戸駐屯地
・陸上自衛隊習志野演習場
・海上自衛隊下総航空基地
などの自衛隊施設、そして、何を研究しているのか非常に疑われる
などの国家機関が集中しています。また、千葉県北部にある千葉ニュータウンには2011年の計画停電時でも絶対停電させなかった
・大手金融機関のデータセンター
が集中しています。まずは、地表の施設としてこれらの国家機関・金融機関に他ブロックから電力を優先融通していた可能性は極めて高いとだけお伝えしておきます。そして、それが同地区の見かけの被害の少なさになって表れた可能性があります。
お役人からすれば、首都防衛機能・国家機能を優先したんだという言い訳なのかもしれませんが、国会における合意なき専用は憲法違反でもあるし、何より国民の信頼を裏切る行為です。そもそも、電力供給を地下発電所に頼っているにも拘わらずそれを国民に一切公表してないことが大問題です。更に問題なのが、その発電方式が原子力であるという点です。
さて、地表の施設があるなら、地下の施設も当然あります。千葉県内の地下施設をピックアップしてたらキリがありませんので、今は、市川市、千葉市、市原市、木更津市、鴨川市などにそれがあるとだけ書くに留めます。問題なのは、どこにどんな秘密施設があるかということでなく
国民を騙す政府の姿勢そのものが問われているのです。
また、それに追従する東電や大手銀行、〇ッコー〇ンや〇いら〇のような大企業も同じ責任を問われているのです。電気も水もなく不安な夜を過ごす国民をさらに突き放すような国や企業に、約束された未来など永久に来ないと私は断言します。
地下秘密施設についての関連記事:
中津山崩れのその後
小泉新環境大臣、あなたは地下に眠る膨大な核燃料をどう処理するおつもりですか?
菅原新経済産業大臣、得意のダンスはほどほどに、今から中学校の理科を復習してください。頭のいい官僚に騙されないように。
最後に、経産省、電気事業連合会に加盟している各電力会社の関係者に向けてご忠告申し上げます。
今後、地下の秘密施設がいつ停電しても驚かないでください
だからといって、地域住民に嘘を吐き、その生活を犠牲にしてまで電気を横取りするようなことはもうお止めください。これが冗談やブラフでないことは11日の深夜に起きた出来事を振り返っていただければ、ご理解いただけるかと思います。そうそう、これまで国民に停電の嘘を吐きまくってきた世耕元経産大臣は早く警察に出頭してくださいね。
追記:千葉県某所在住の知人とのLINE記録(9/10)
知人: わー、なんなんだろうね。同じ町内でなんでうちの周り200軒だけがダメなんだろ〜知人: なんとか頑張りましょう。
日月土: おはよう。大変だね。200軒位で1基の発電所があるんだよ。それが如実に出たね。もちろん、それは地下に作られた小型の原子力(^。^;)
知人: ええぇ。。
知人: ウチの近所の地下って事?
日月土: そうだよ
知人: んげぇ
日月土: 家の近所のやつなんか、もう場所まで把握してるよ( ̄∇ ̄)
知人: じゃあ意外とちょこちょこといっぱいあると言うことに…なるか。
日月土: そう、日本に少なく見積もっても10万基あるよ
以下、追記ですが、笑います (9/14 4:30AM)
千葉の電柱倒壊・損傷2000本 台風15号被害、経産省試算
2019.9.14 00:16
経済産業省は13日、台風15号による「停電被害対策本部」を設置し、千葉県を中心に電柱2千本が倒壊や損傷したとの推計を示した。昨年、大規模な停電を近畿地方で引き起こした台風21号と比べても、深刻な被害が発生していると分析した。
(以下略)
引用元:産経新聞 https://www.iza.ne.jp/kiji/economy/news/190914/ecn19091400160001-n1.html
いやー、たった1晩で、
いきなり2桁も増えたか(笑)
電柱の軽微な損傷まで含めればそりゃ増えますよね。なんでわざわざこういう数字の出し方をしてきたのでしょうか?しかも、推計。この5日間、何千人も人を出してまだ実態が掴めないって、どういうことですか?頼むから国民のために仕事してくださいよ、経産省さーん。
経産省電力事業幹部リスト(https://www.meti.go.jp/intro/pdf/list_ja.pdf)
新人事も終わったことですし、どなたか、停電被害報告の遅れと地下発電所について、明確にお答えください。また、どうして高圧送電などという嘘を吐くのかについてもお答えください。とりあえず、電力基盤整備課長の曳野潔さん、よろしくお願いします。
なお、虚偽による違法な送電網の建設については、電力会社も含めてその費用について国民負担分を全額返還して頂くのが相当であると考えます。また、虚偽による停電で国民が蒙った被害等についても、2011年の計画停電に遡り損害賠償責任が生じるものと認められます。
三の年に記す
管理人 日月土