少し前に、電力不足祭が始まると書きましたが、一転して今度は電力過剰祭に乗り換えたようです。
東北電ネット、きょう初の「出力制御」 再生エネ事業者に発電停止を指示
2022年4月9日 20:25 | 2022年4月10日 1:13 更新
東北電力ネットワークは9日、電力の供給過多による大規模停電を避けるため、再生可能エネルギー事業者に発電の一時停止を指示する「出力制御」を10日に実施すると発表した。東北電ネット管内の東北6県と新潟県での出力制御は初。
時間は午前8時~午後4時で、最大38万キロワットの発電を抑制する。対象は出力10キロワット以上の事業者で、家庭用太陽光発電は含まない。調整順を定めた「優先給電ルール」に基づき、東北電力の火力発電の抑制、他電力地域への送電なども実施する。
電力は生産量と消費量を常に釣り合わせないと発電機の動作に支障が生じ、最悪の場合は大規模停電につながる。10日は好天で太陽光発電の出力の上昇が見込まれる一方、休日でオフィスの電灯や空調の需要が少なく、電気が余るという。
東北6県と新潟県では昨年12月時点で太陽光725万キロワット、風力177万キロワットが連係されている。再生エネの固定価格買い取り制度(FIT)が導入された2012年度から太陽光は約19倍、風力は約3倍に増えた。
離島などを除く本格的な出力制御は、2018年に九州電力が全国で初めて実施。9日には四国電力グループの四国電力送配電も同社として初めて実施した。
引用元:河北新報 https://kahoku.news/articles/20220409khn000042.html
この話題、読者さんはもう飽き飽きしているかもしれませんが、東北電力は大事なことを説明していません。
電力需給バランスを発電総量で示す根拠は何か?
まずこれを説明してもらわないことには、このような発表には全く意味がないのです。詳しくは過去を記事を読んで頂きたいのですが、このような「電力プール理論」が成立する理論的根拠は全くないのです。
関連記事:電力不足祭始まる!
このような妄想にも近い「電力プール」が存在し得ないならば、局所的な需給バランスの不均衡が直ちに局外に波及することはなく、この報道記事が煽っているような「大規模停電」など起こるはずもありません。
だいたい、「再生エネ事業者に発電停止を指示」って、この10年間、再生エネ政策を促進するために、私たちの電気料金から「再生エネ賦課金」まで徴収して進めてきたのでしょ?だったら
東北電力が真っ先に停止しろ
となりますし、どうしてもそれができないというなら
再生エネ賦課金を全て返還しろ
となります。
この話のおかしな点はまだあり、「太陽光は約19倍、風力は約3倍に増えた。」とありますが、
太陽光は夜間は発電しないし、風力は風が無ければ発電しない
という、当たり前のことが説明されていません。このような極めて不安定な発電システムにも拘わらず、どうしてざっくりと発電総量(おそらく最大値)を出してくるのか、子供騙しにしても程度が低すぎます。
また、他電力に余剰電力を融通なんてことが机上の空論であることは次の記事でも説明済です
関連記事:電力融通という欺瞞
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以上、言わなくてもよい嘘を電力会社がどうしてわざわざ公にするのか、問題なのはむしろこちらの方で、それはやはり局所的に電力過剰が発生し、過給電による発火事故、緊急停電などが危惧されるからだろうと考えられます。
何と言っても地下アレはその構造上、出力調整が難しいですからね。それを素直に消費者に伝えられず、電力プール理論に基づく「大規模停電」などという大義名分(なっていませんが)を持ち出して、何か電力事故が起きた時の予防線を張っているのだろうというのが私の見解です。
そうでなければ、この夏にでもウクライナ危機と絡めた計画的な電力パニックでも起こそうと考えており、それに向けた大衆への心理的擦り込み、事前準備なのかもしれません。
何にせよ、初めから嘘を吐かなければ良いだけなのですが、現在の電力政策を進めてきた経産省・電気事業連合会(経団連)の罪は極めて重いです。
神代二の年に記す
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